樹木本来の特性を生かした剪定のコツとポイント
2022/03/04 up!
庭木の剪定
庭の手入れの中でも特に重要な「剪定」
多様な植物に関わる剪定には基準づくりが難しく、切り方や方法は統一されていません。
剪定のプロである職人によっては、先代から受け継いだ技術を継承している職人もいれば、
複数の職人が統一した切り方ができるように指導している造園会社もあります。
剪定をプロに依頼する場合は業者の特徴を理解し、予算だけでなくどのような職人が行うのかをしっかり見極めて選ぶことが大切です。
今回のコラムは、剪定の基礎知識についてご紹介いたします。
剪定が必要なわけ
剪定(せんてい)とは、植物の枝や茎を切って成長に適した形に美しく整え、
大きくなりすぎた樹木や茂りすぎた樹木の枝を切って樹形を整えることです。
葉が多ければ光合成の量が増し植物がより大きくなると思われがちですが、日の当たらない場所に枝葉ができると、
光合成が十分行われないまま、栄養分だけが浪費されてしまいます。
剪定で不要な枝を切り、植物が栄養分を効率的に使えるようにすることで花や実がつく力も蓄えられます。
・剪定のコツは一度に切り過ぎない。
剪定の際に注意しておきたいことがあります。
例えば伸び放題となった樹木を剪定する時、整えようとするあまり一度に切り過ぎないことです。
植物は根と枝、葉でバランスを取っているため、すでに根がしっかりと生えているという状況を考えずに枝を切りすぎると、太い枝が勢いよく出てきてしまいます。
もし樹木の枝を短く切って整えたいときは、何回かに分けて剪定する必要があります。
●剪定の効果
剪定は、植物の病気や害虫の発生を予防する対策の一つです。
適度に剪定を行えば、風の通りをよくしカビや細菌で発生する病気を抑制できます。
剪定するときに植物をよく観察できるので異変を察知したり害虫も見つけやすくなるため、
捕まえたり薬剤をまくといった対処が早くできるようになります。
●剪定の時期
剪定は、「何月だから剪定をしなければならない」という時期を特定しない方が良いです。
庭の環境や状態、植物の種類によって変化しますので、庭木の剪定で一番重要な事は、こまめにチェックする事です。
お庭の状態を常に把握し、定期的にチェックを行い、季節や状況に応じた最適な処置をまんべんなく施すことによって、
1年中植栽をきれいに、美しく保つことができます。
剪定のポイント
・剪定は伸びすぎた枝などを切ることで日当たりを改善させ、害虫の発生を予防するために行うものです。
・台風の時期は、不要な枝を取り除くことで、台風対策になります。
・花の咲く樹木は、樹木の種類によって花をつけ終わる時期が異なります。
新芽をつける前やある程度出揃った頃に、きれいに整えておくのも良いでしょう。
忌み枝(いみえだ)とは?
剪定するべき枝のことを「忌み枝(いみえだ)」などと言います。
「忌み枝」と呼ばれるのには、それぞれ理由があります。
・「忌み枝」の種類
下記に示した「忌み枝」はすべて剪定したほうが良い枝です。
不要な枝と言われる理由について紹介していきましょう。
ひこばえ・胴吹き枝 | 幹から直接生えて見栄えが悪い枝 |
徒長枝 | 早く成長し突き出す用に延びる枝 いずれも養分を先に使い生育を妨害する枝です |
下り枝・並行枝 | 樹形を乱すうえ日が当たりにくいため枯れやすい枝です |
逆さ枝・立ち枝・車枝・腹切り枝・かんぬき枝 | 樹形のバランスを崩すだけでなく枝葉が込み合う原因になります |
枯れた枝・病気の枝 | 残しておくと病気や害虫が増える原因となります |
交差枝 | 他の枝に絡まるように伸びる枝。枝が混み、ぶつかり合うという問題を抱えています |
これらの枝は切るべきですが剪定作業をする時に切っていい枝なのか迷うこともあります。
そういう場合はすぐに切る必要はありません。
特に、樹木の生育を阻害する「ひこばえ」「胴吹き枝」や、枝同士が傷つけあう恐れのある「徒長枝」のように
問題が明らかな枝はすぐに切る方が良いですが、「忌み枝」なのか判断がつかない場合は、木の生育にすぐには支障がないことが多いものです。
しばらく様子を見て、明らかに問題になりそうな枝だと分かった時に剪定しても遅くはないでしょう。
剪定の種類
剪定はスムーズに進めるため、「上から下に、外側から内側に」切っていきます。
また、「忌み枝」は、枝分かれしている付け根で切るのが基本。中途半端に残すと、そこから枝分かれして樹形が乱れる原因になるからです。
また、中高木の剪定の場合は、作業後のイメージを想像しながら太い枝から切るのが良いでしょう。
「強剪定」の効果と実施時期
古い枝など太い枝を大胆に切り、春に新鮮な葉を芽吹かせて枝先から若返らせる。
枝葉の密集により発生する病気や害虫の防止にも役立つ、
このような剪定のことを「強剪定」と言います。
大胆に切るため、この切り方が適さない樹木もあるので注意します。
直径5㎝を超える太い枝を切るときは植物への負担を減らすため、
落葉樹の場合は葉が落ちて休眠状態にある冬がよいでしょう。
(参考:クスノキの強剪定)
クスノキの強剪定は新芽の吹く前の3月頃に行います。樹木の成長を促し、
カラスなどが巣を作らないように枝や茎をカットします。
・切り戻し
果実樹などで長くなりすぎた枝を途中で切り、コンパクトに整える剪定を「切り戻し」と言います。
枝の途中で切ることから、切った部分が分かりにくく見た目も整えやすい利点があります。
切り戻して新しい枝を育てることで、花や実をつけやすくする効果も期待できます。
・刈り込み
生垣や芝生などの伸びてきた枝や葉を途中から刈る剪定のことです。
形状を保つことが目的なので比較的簡単に行えますが、コツとしては切り始める前に理想の仕上がり状態をイメージすることです。そのイメージを考えながら剪定して行きます。
生垣の表面に枝の切断部が見える時は少し奥から枝を切るなど、工夫をしながら進めましょう。
生垣は刈りこむことで枝葉が密になるため見た目にも美しくすることができます。
芝は切り過ぎると弱ってしまう種類もあるため注意しましょう。
☆職人の目線☆【個々の木の特徴にあった剪定を】
剪定は、樹種や個々の木の特徴に適した方法で行わないと狙った効果が得られない場合があります。
例えば、クリスマスツリーに似ていることから人気の高いゴールドクレストは、
根の張りが浅いという特徴があり、背が高くなるほど風通し良く剪定しないと強風による倒木の危険が出てきてしまいます。
また、垣根に適したサワラなどはこまめに剪定するほどに枝先が密集するという特徴を持っています。
木々の特徴を理解しながら、病気や害虫から守るために、また美しい形に整えるために行うのが剪定と言えます。
(参考:ゴールドクレストの剪定)
葉先ばさみで形を整え、枝を減らすことで風通しがよくなり、虫も付きにくく、倒木の防止にもなります。
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